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「盛田昭夫」を語る

想い出

13

SONY伝説的創業者から贈られた言葉
石田宏樹氏より

1972年生まれ、FreeBit株式会社のCEOです。

日本で、「次世代インターネット技術」を核とした起業で、27才の時と、35才の時に2度の株式上場を経験しました。(フリービットの最大の法人株主はSONYです)まずコラムの連載の最初に、僕の起業家人生を始めるきっかけになった、SONYの伝説的創業者、盛田昭夫氏との出会いについてのエピソードをご紹介したいと思います。

中学生時代に、盛田氏が書いた「Made in Japan」という本を読んだ僕は、SONYという会社に強い憧れを持ち、「将来はSONYを経営する人間になりたい」という目標を持っていました。高校2年生の時、お金を貯めてSONYのビデオカメラを購入しました。この購入の際に、SONYのSales担当者が新製品情報に関して不適当な情報を僕に伝えたために、結果として不満足な買い物となってしまいました。

僕は、盛田氏が作った「憧れのSONY」のSalesが不誠実なことをすることは信じられませんでした。自分が若く純粋だったこともあり、「このことは盛田氏だったら理解してくれる」と信じて、高校の寮で2週間かけてSONYへの憧れ、SONYを経営する人間に成長するために現在行っている努力、そして不誠実な対応に関しての感想、さらには将来のSONYが進むべき道に関してのアイディアを手紙に書き、ビデオカメラの箱に書かれていた住所宛に送付しました。

その約2週間後、何とその手紙が直接盛田氏の元に届き、本社から使者が僕の高校の寮までやってきました。そのとき届けられたメッセージには、二つのことが記されていました。 

 ・君はSONYに来るな、21世紀の新しい組織を自ら起業しなさい
 ・家電ではなく、通信を目指しなさい

 1992年、インターネットが広がるずっと前。日本ではやっとレガシーな電話事業に新規参入が認められた時期です。この言葉がその後の僕の人生を決めました。

就職ではなく起業、そして通信という分野。この目標を実現するために、当時コンピューターネットワークのテクノロジーが日本でもっとも進んでいた、慶応大学湘南藤沢キャンパスに進学し、インターネットに出会いました。

その後、2度の起業を経験し、2001年にSONY会長(当時)出井伸之氏と運命的な出会いを果たし、2002年にはSONYがFreeBitの技術を採用して、世界最初の「ネットワーク家電」を生み出しました。

家の中にある家電を、携帯電話やPCから自由にコントロールすることができます。盛田氏は「ソニーの家電技術」と、同じ遺伝子を持つ別の若い集団が生み出した「通信技術」が融合し「ネットワーク家電」を生み出すことを予見していたのでしょうか?

「偉大な企業理念(遺伝子)」は、企業という枠すら超えて伝承していく。このことを、高校時代に「予感」し、両者の協業が生まれたときに「実感」する事ができた僕は、大変長い視野で経営に取り組む「心の強さ」を持つことができました。

この「縁」を自分だけの為に使わずに、インターネットを広げ、社会に貢献する事で、還元していきたいと思っています。4月からいよいよ、中国での起業にチャレンジします。SONY伝説的創業者の遺伝子を引き継ぎ、中国で「次世代インターネット技術」を駆使し、生活を幸せにする、全く新しいネットワークサービスの立ち上げに挑戦したいと思います。その際に、様々な企業家の方々との「縁」を作っていくことを楽しみにしています。

2012年5月 石田宏樹
フリービット株式会社
代表取締役社長CEO

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