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「盛田昭夫」を語る

想い出

15

盛田昭夫:スイスから日本へ (No.2)
著者:グレゴリー・グランツマン氏

「メイド・イン・ジャパン」の確立

 SOSAの歴史は挑戦の塊といっても過言ではないだろう。多くの国々が厳しい外国直接投資や輸入規制を敷いていた。当時特に難題であったのが西ドイツ製の製品との競争だった。

当初、ヨーロッパで「メイド・イン・ジャパン」という印は宣伝において不利であり、ヨーロッパで日本ブランドを代表するのは困難であった。この問題はどの日本製製品の宣伝にも行き当たる課題だった。いかにソニーの世界最小トランジスタが最高の選択であるかを、すぐに入手出来るドイツ製をすでに選択している客に確信させるかが成功への鍵だった。小松が言った。「ドイツでラジオを売るのは北極で氷を売るのと同じだ。しかしそれを売るのが営業マンだ!」

既に有力なブランドのために製造し目先の利益を得るのではなく、独自ブランドの展開をしていくのがソニーの重要な目的であった。高性能だと言う印象で販売するために、時には特別な計画が必要であった。まだ名の知れない会社を有名メーカーにするというのが盛田のビジョンだった。ハンブルグで小松が決断したのは、あの世界最高級ピアノメーカー、スタンインウェーの販売店にポケットサイズのトランジスタを仕入れてもらうよう説得し、ソニーと高級品ブランドにつながりを持たせることだった。店に断られた後、小松は一週間という約束でショーウインドーのスペースを借りた。そこで小松は地元の大学生達にラジオを見せ、ラジオが本当に気に入った学生達に宣伝に協力してもらえるよう頼んだ。一週間ラジオの評判のよさを学生から聞いた店主は需要の多さを確信し、小松に仕入れを頼んだ。

小松の周りのやる気のあるスタッフがだんだんと代表事務所をヨーロッパ中密に築いていった。営業は独立した代理店のネットワークを通して行われた。SOSAにとってこれはビジネスをするにあたり極めて重要な方法であったが、次第に地元ユーザーとの距離を縮めるよう試み、ローカルにオフィスを構えるようになった。1969年、ソニーUKから始まり、ドイツ、フランスとヨーロッパ中拡大をすると同時にSOSAは正式にヨーロッパ・マーケティングの本部となっていった。

盛田は物事を短期的にみる人物ではなく、慎重に収入を守り、長期的に投資しなければならないことを心得ていた。70年代後半にSOSAの支配人を務め、後にソニーグループの副社長を務めた伊庭保も盛田の先見性を強調している。盛田はソニーの革命的な江崎トンネルダイオードの特許ライセンスをスイスから取ることを指示していた。トランジスタラジオにおけるそのテクノロジーの使用は50年代後半にソニーの江崎玲於奈によって発見された。結果的にスイスの良環境と優れた金融制度を利用した形で特許料収益収集際の最善策となった。盛田の指示はその特許ライセンスが収入につながるか全くわからない以前にでていた。江崎はこれとほかの発見で1973年にノーベル物理学賞を受賞している。

盛田はソニーが日本企業で初めてチューリッヒ証券取引に上場した際にスイスを訪れている。その夜スイスで勤務していた日本人駐在員達は伝統的なオープニングをしようと酒樽を用意した。しかし、いざ鏡割りの時、盛田と主賓が木槌を下ろすも蓋は割れなかった。重要な蓋を緩める事前の作業が出来ていなかったからだ。

盛田はこの失敗を即座に彼のスピーチに組み込んだ:「スイス上場が、認められて大変うれしい。しかし、今日の鏡割りと同様、最初は、なかなかうまく行かず、はらはらしたが、見事に、成功した。ソニーは、ハードシップを乗り越える企業である。」 彼の素晴しい指摘に来客は盛大な拍手を送った。(No.3 に続く)

「スイス・日本国交樹立150周年記念年鑑」より抜粋 

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