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「盛田昭夫」語録 こころの教科書

フィロソフィー

6

変革への勇気「『日本型経営』が危ない」(1992年)
〜日欧で異なる価格設定方法〜

通常、製品の価格は、材料費、人件費、研究開発費、広告費などの生産・販売にかかるコストの積み上げと、需給関係をにらみながら決定されたマージンとの和で構成されます。
したがって、品質の高い製品をつくる場合、進んだ技術、よい原材料、よい設備、そして質の高い労働力が必要となり、生産コストは必然的に高くなります。さらに、株主への配当を高いレベルに保とうとすると、それなりの利益の確保が要求されるため、マージンを厚くする必要があり、製品価格を高くしなければならないのです。

逆に、一般普及品の場合は低い生産コストですむようにし、マージンも少なくして、製品を低価格で供給し、そのかわり大量に販売するのです。これが、自由経済システムまたは市場原理のもとでの製品価格の決め方です。
しかし、日本と欧米は同じ自由経済システムのもとにありながら、同じレベルの品質の製品に対して、日本企業の価格設定は一般的に欧米企業より低くなる傾向があるように感じられます。それはなぜでしょう。

日本市場では企業間の競争が非常に熾烈です。たとえば、民生用電子機器の業界を見ても、比較的すみ分けが明確で、また競争もそれほど激しくない欧米の市場環境に比べ、日本ではこの狭い市場に世界的な大企業がひしめき合い、競合する製品分野でしのぎを削りながら競争しているのが現状です。

こうした市場にいては競争はどうしても価格競争に集約してきます。そこで勝ち抜くには、大量生産によるコストダウンが大きなカギの一つを握ります。そのため、いきおい企業の側では大量につくった製品の販売先を確保するため、利益を犠牲にすることを覚悟で価格を引き下げてまでも売り上げを伸ばし、市場シェアをとることに重点を置く場合も出てくるのです。
つまり、日本企業の価格設定のやり方は、市場獲得のために販売価格が先に決定され、その価格で売れるように、コスト、利益を削っていく方法がとられがちなのです。このような日本市場の特徴のため、日本企業の価格設定のやり方は欧米企業のものとは異なるものとなってしまいました。

自動車、エレクトロニクスを中心に、国際的競争力を持つ日本メーカーは多く、海外市場でも日本メーカー同士がライバルとして競い合うのが現状です。そうすると、海外でもライバルの日本メーカーに勝つためには、日本市場と同様のやり方で競争せざるをえなくなってしまうのです。

欧米企業の常識とは異なった日本のやり方をそのまま自分たちの市場に持ち込まれた彼らにしてみると、それは「侵略」であり「われわれの首を絞めるのか」ということになってしまいます。そこが問題なのです。
(Vol. 7に続く)

WAC「21世紀へ」より抜粋

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